その昔、「日本一の富豪村」とも呼ばれた加賀橋立。
江戸時代中期にかかれた書物『船道定法記』によると、橋立の集落には、
大阪と北海道を結んで商売をした北前船の船主たちが四八名も住んでいたと記されています。
十万石の大聖寺藩の財政を支えていたのは、北前船の船主たちでもあったのです。
北前船主の豪邸が建ち並ぶ橋立は、重要伝統的建造物群保存地区にも指定されており、ゆっくりと散策したい町。
「北前船主屋敷蔵六園」と「北前船の里資料館」を結ぶ道は、板塀が続く〈山崎通り〉。
ばん家と北前船主の墓地を結ぶ道は、笏谷石の青い石垣が続く〈新町通り〉。
町中を貫くのは、赤瓦と白山が望める〈眺望の通り(サマンダ通り)〉。
どの通りもひなびた味わいの中にも船主屋敷の凛とした佇まいがあり、かつて橋立の隆盛を垣間見ることができるコースです。
また国定公園にも指定されている越前加賀海岸は、まさしく海の景勝地。
潮風が造形した美しい松林が続く加佐ノ岬や、黄白色の岩石が露出した尼御前岬に佇めば、
海岸線と日本海が生み出す一大パノラマを眼下に望むことができます。
そして橋立港で忘れてはならないのが、海の幸。特に冬場はカニの水揚げ港として知られ、
青いタグが証明する地元産とれたてのズワイガニを味わおうと、全国から食通たちが足を運びます。